○「患者等搬送事業」に対する指導及び認定に関する要綱
 
平成 2年11月 1日 
消本告示 第 2号 
第1 目的
この要綱は、当消防本部管轄区域内の民間による患者等の搬送事業者に対し、必要な指導を行うとともに、一定の基準に適合する患者等の搬送事業者の認定を行うことにより患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
第2 用語の定義
この要綱における用語の定義は、次に定めるところによる。
1 「患者等」とは、寝たきり老人、車椅子又は寝台を必要とする身体障害者及び傷病者(消防法(昭和23年法律第186号)第2条第9項に定める傷病者に該当しない傷病者)等をいう。
2 「患者等搬送業務」とは、患者等を医療機関及び社会福祉施設等へ搬送するために必要な構造又は設備を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し、患者等を搬送する業務をいう。
3 「患者等搬送事業者」とは、患者等搬送業務を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
4 「認定事業者」とは、第5、2による認定を受けた患者等搬送事業者をいう。
5 「乗務員」とは、患者等搬送用自動車に乗務し、当該業務に従事する者をいう。
第3 指導
消防長は、管轄区域内の患者等搬送事業者に対し、次の基準により必要な指導をするものとする。
1 患者等搬送業務の制限
(1) 生命に危険があり、又は症状が悪化すると認められ、緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等は、搬送の対象としないこと。
(2) 患者等搬送事業所、患者等搬送用自動車及びパンフレットその他これらに類するものに「緊急の業務」を行っていると市民等に誤解を与えるような表示はしないこと。
(3) 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観をしていないこと。
2 応急手当の実施
患者等の搬送業務は、症状の悪化防止に万全の配慮を行い、搬送途上において症状が悪化し緊急やむを得ない場合は、必要最小限の応急手当を実施するこ  と。
3 消防機関への通報等
患者等搬送事業者は、次の各号の一に該当した場合は、患者等の居る場所、状態、既往症、掛かりつけの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請すること。この場合において、救急隊員等から指示があった場合は、これに誠実に従うこと。
(1) 患者等の搬送依頼時の内容、症状の聴取結果から緊急に医療機関へ搬送する必要があると判断した場合
(2) 患者等の搬送依頼があった場所に到着後、症状等から緊急に医療機関へ搬送する必要があると判断した場合
(3) 患者等の搬送途上において、症状が悪化し、緊急に医療機関へ搬送する必要があると判断した場合
4 乗務員の要件
乗務員は、満18歳以上の者で、患者等搬送乗務員適任証(以下「適任証」という。)の交付を受けている者であること。
5 適任証の携帯
乗務員は、搬送業務に従事するときは、適任証を携帯すること。
6 運行体制
患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車1台につき2名以上の乗務員をもって業務を行わせること。ただし、退院等を目的とした運行をする場合又は医師若しくは看護婦等が同乗する場合は、乗務員を一人とすることができる。
7 乗務員の研修等
(1) 乗務員に対し、患者等の安全搬送に関する知識及び技術を向上させるため、積極的に研修訓練を実施させ、その結果を訓練実施記録簿(別記様式第1号)に記録し保存すること。
(2) 乗務員には、2年に1回以上第4、1に定める患者等搬送乗務員定期講習を受講させること。
8 患者等搬送用自動車の要件
患者等搬送用自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペ−スを有するものであること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等を確実に固定できる構造であること。
(5) 自動車電話又は無線機等、通信、連絡に必要な設備を有していること。
9 患者等搬送用自動車の表示
患者等搬送用自動車の車体には、患者等搬送用自動車である旨の表示を別表第1により行うものとする。
10 積載資器材
患者等搬送用自動車には、別表第2に掲げる資器材を備えること。
11 消毒の実施要領等
(1) 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次により行うこと。
ア 定期消毒 毎月1回以上
イ 使用後消毒 毎使用後
(2) 消毒の実施要領は、別表第3によること。
(3) 医師から消毒について特別に指示があった場合は、指示に基づいた消毒を行うこと。
12 消毒の表示
前記11(1)アによる消毒をしたときは、その旨を消毒実施記録票(別記様式第2号)に記録し、患者等搬送用自動車内の見易い場所に表示しておくこと。
13 衛生・安全管理
(1) 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔の保持に努めること。
(2) 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めること。
第4 講習及び適任証の交付
1 講習の実施
消防長は、搬送業務に必要な知識、技術を乗務員に習得させるため、患者等搬送乗務員基礎講習及び患者等搬送乗務員定期講習(以下「講習」という。)を実施するものとする。ただし、この講習については、他の消防長と共同して実施することができる。
2 講習の実施基準等
前記1の講習の実施基準等については、別表第4による。
3 適任証の交付
消防長は、次の(1)及び(2)の該当者に対し、適任証(別記様式第3号)を交付するものとする。
(1) 患者等搬送乗務員基礎講習を修了し、同講習修了考査に合格した者
(2) 別表第5に掲げる前記(1)の者と同等以上の知識及び技能を有する者(以下「特例適任者」という。)として消防長が認めた者
4 適任証の有効期間
適任証の有効期間は、2年間とする。ただし、第4、1で定める患者等搬送乗務員定期講習を受けた者については、さらに2年間有効とし、それ以降も同様とする。
5 講習等に関する事務手続
講習に関する事務処理及び適任証の交付(再交付を含む。)手続は、別に定めるところによる。
第5 認定等
1 認定の対象となる患者等搬送事業者は、次の者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業免許取得者
(2) 一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動車運送事業免許取得者
(3) 一般貸切旅客自動車運送事業の免許取得者
(4) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(5) 無償自動車運送事業の届出者
2 認定
消防長は、別表第6の認定基準に適合する患者等搬送事業者に対し、別表第7の遵守すべき事項を履行することを条件に、患者等搬送事業者として認定する。
3 認定の申請
認定を受けようとする患者等搬送事業者は、患者等搬送事業認定(更新)申請書(別記様式第4号)に乗務員名簿(別記様式第5号)及び患者等搬送用自動車届(別記様式第6号)を添付して、当該事業所を管轄する消防長に提出し、認定を申請するものとする。
4 認定の審査
消防長は、前記3の申請内容を認定審査基準表(別記様式第7号)等に基づき審査するものとする。
5 認定証等の交付
(1) 消防長は、認定審査基準に適合していると認めたときは、認定(否認定)結果通知書(別記様式第8号)を送付し、速やかに認定証(別記様式第9号)患者等搬送事業者認定マーク(別図第1)及び患者等搬送用自動車認定マーク(別図第2。以下「認定証等」という。)を患者等搬送事業者に交付するものとする。
(2) 消防長は、審査の結果、認定しなかったときは、その理由を付し認定(否認定)結果通知書を送付するとともに、患者等搬送事業者に対し、認定審査基準に適合するように指導するものとする。
(3) 消防長は、認定証等の交付を行うきは、患者等搬送事業者から認定証等受領書(別記様式第10号)を受け取るものとする。
6 認定証等の有効期間
認定証等の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
7 認定の更新
(1) 認定事業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、当該認定の期間の満了する日の1箇月前から当該認定の期聞の満了する日までの間に更新申請するものとする。
(2) 更新時手続は、認定時の手続を準用するものとする。
8 認定証等の再交付
(1) 認定事業者は、認定証等を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、患者等搬送事業認定証等再交付申請書(別記様式第11号)を当該消防長に提出し、認定証等の再交付を申請するものとする。
(2) 消防長は、前記申請書の記載事項等の内容を確認のうえ、認定事業者に再交付するものとする。
(3) 認定証等の受領手続は、前記5(3)を準用するものとする。
9 業務内容の変更
(1) 患者等搬送事業認定申請書の内容を変更した場合は、患者等搬送業務内容変更届(別記様式第12号)により当該消防長に届け出るものとする。
(2) 消防長は、前記変更届の記載事項等の変更内容を確認し、整理しておくものとする。
10 認定の取消し
(1) 消防長は、次の一に該当するときは、認定を取り消すことができる。
ア 別表第6に定める認定基準に適合しなくなったとき。
イ 別表第7に定める遵守すべき事項を履行しないとき。
ウ 業務の遂行にあたって、重大な事故を発生させたとき。
エ その他、認定を継続することが不適当と判断されるとき。
(2) 前記(1)の認定を取り消したときは、当該事業者に認定取消通知書(別記様式第13号)を送付するものとする。
11 認定の失効
次の各号の一に該当するきは、認定はその効力を失うものとする。
(1) 道路運送法(昭和26年法律第183号)に定めるところにより、国土交通大臣の免許等が取り消され、又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
12 認定証等の返納
(1) 認定事業者は、前記10及び11に該当した場合は、速やかに認定証等を返納するものとする。
(2) 消防長は、前記(1)の返納が行われない場合は、返納を求めるものとする。
13 認定事業者の責務
(1) 認定事業者は、認定及び遵守すべき事項を誠実に履行しなければならない。
(2) 認定事業者は、患者等搬送業務実施中、特異な事案を扱ったとき、又は搬送業務の遂行に支障を及ぼす重大な事案等を発生させたときは、特異事案報告書(別記様式第14号)により消防長に報告するものとする。
14 認定事業者の調査
(1) 消防長は、年間1回以上認定事業者に対し、認定基準及び遵守すべき事項の履行状況について調査するものとする。
(2) 消防長は、前記(1)の調査結果から不適事項が認められたときは、認定基準及び遵守すべき事項に適合するよう指導するものとする。
附 則
この告示は、平成2年11月1日から施行する。


様式関係